いのうえ内科

肝障害と診断されたら・・

肝臓について

体内で、最も大きく、最も重い臓器。
 ◎肝臓の重さ・・・・・1000g〜1500g(体重の1/50)



大きく分けて3つの働きがあります。


    
 解毒
作用
  食べ物や飲み物の中には、栄養となるもの以外に時として有毒なものが含まれていることがあり、有害物質の多くは腸から吸収され肝臓に集まってきます。また体内でも食べ物を分解する過程でさまざまな有害物質が生じます。肝臓は自分の持っている解毒作用の働きによって、これらを無毒化して体外に排出し、有毒物質が全身に回るのを未然に防いでいます。
栄養素の合成・分解
・貯蔵
人間の身体は食物から消化、吸収した栄養素をそのままの形では利用することができません。そこで、栄養素を分解したり合成したりして身体が利用できる形に作り変え(代謝)なければなりません。その代謝を肝臓は行っています。
  
 胆汁
の分泌
  脂肪の吸収を助ける胆汁を作り分泌します。


肝障害とは?
原因となる主な疾患は
   病名  代表的な原因
 ウイルス 急性肝炎 A型・B型・C型・EBウイルス・サイトメガロウイルス
  慢性肝炎 B型・C型 
 アルコール 肝障害・肝炎・肝硬変 アルコール
 薬剤性 肝細胞障害型 薬物による
  胆汁うっ滞型  薬物による
 栄養 脂肪肝   栄養過多
  ヘモクロマトーシス  鉄の摂取過多・先天異常
 自己免疫 自己免疫性肝炎   免疫の異常
  原発性胆汁性肝硬変  免疫の異常
  原発性硬化性胆管炎  免疫の異常
 胆道病変 閉塞性黄疸  総胆管結石・胆管癌・膵癌・十二指腸乳頭部癌・胆嚢癌など

検査

肝機能の一般的な血液検査
GOT  肝細胞に含まれる酵素。肝細胞の破壊によって数値が増加する。
GPT  肝細胞に含まれる酵素。肝細胞の破壊によって数値が増加する。
γGTP  肝臓や胆道系の酵素。胆汁の流れが悪くなると数値が高くなります。アルコール接種にても上昇します。
ALP 肝臓や胆道系の酵素。胆汁の流れが悪くなると数値が高くなります。アルコール接種にても上昇します。
LDH   体の細胞内に含まれる酵素。肝細胞が障害されたり破壊されると、血液中に流出して値が上昇します。
ChE(コリンエステラーゼ)  肝細胞で作られる酵素。肝機能が働きが低下すると、血液中の数値は低くなります。
ただし、脂肪肝のときは上昇します。
Alb(アルブミン)  肝臓で作られる蛋白質。肝硬変などで肝臓の働きが低下すると、血液中の値も著しく低下します。
T-Bil(総ビリルビン)  肝細胞や胆道に障害が生じると、血液中にビリルビンが増加して高値を示します。いわゆる黄疸の数値です。
PT(プロトロンビン時間)  血液が凝固するまでの時間(秒)をみます。肝障害があると血液が固まりにくくなるため、時間が延長します
アンモニア  肝機能が低下すると、解毒されないアンモニアが血液中に増加するため値が上昇します。
 ヒアルロン酸
慢性肝炎と肝硬変の鑑別に用いる。
高値になるほど出来上がった肝硬変

肝障害の原因検索目的の血液検査
 A型肝炎  IgM-HA抗体
 B型肝炎  IgM-HBc抗体・HBs抗原・抗体・HBe抗原・抗体・HBV-DNA(定量)

C型肝炎  HCV抗体・HCV-RNA(定性・定量)・HCV群別(グルーピング)
 EBウイルス  抗EBV VCA-IgM・抗EBV VCA-IgG抗体・抗EBNA-IgG抗体
 サイトメガロ
ウイルス
抗CMV-IgG・抗CMV-IgM・サイトメガロウイルスDNA
 自己免疫性肝炎  抗核抗体(ANA)・抗平滑筋抗体(ASMA)
・抗LKM−1抗体・IgG・IgM・γグロブリン
 原発性胆汁性
肝硬変
 抗ミトコンドリア抗体(AMA)・抗セントロメア抗体

画像診断
   当院での対応
腹部エコー   超音波を用いて肝臓・胆嚢などを検査します。  可能
腹部CT  レントゲンを用いて体を撮影します。  不可
…病院へ紹介
腹部MRI  磁気を用いて体を撮影します  不可
…病院へ紹介


これらの検査を用いて原因検索を行い肝障害の原因を調べます。

また、これらで原因不明な場合には肝生検を行い原因を調べる場合もあります。


治療および注意
・肝機能異常の原因により異なります。

・まずは原因を明確にすることが重要です。しらない間にウイルス感染していたり、腫瘍ができたりする場合もあります。異常を指摘されたら早めにご相談ください。












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